生徒らとの質疑で、母校の授業での秘話を明かす小室さん(右)=府中第四中学校で
東京都府中市出身の音楽家小室哲哉さん(65)が13日、母校の市立府中第四中学校を訪れ、全校生徒約620人と交流した。小室さんは音楽家の原点は同校での授業にあった秘話を明かしたり、校歌斉唱でピアノ伴奏したりして生徒らを喜ばせた。(北浜修)
今年は市制70周年で、市は小室さんに市のイメージアップや多摩地区全体の魅力を発信してもらう特命大使を委嘱しており、母校訪問が実現した。
全校生徒が集まった体育館へ小室さんがサプライズで登場すると、生徒らは大はしゃぎ。
生徒らとの質疑で、小室さんは同校の音楽の授業での秘話を披露。いつもの先生が欠席で、代わりの講師がリコーダーの授業で作曲を教えた。生徒それぞれが約30分で譜面を書いて提出。講師は小室さんの譜面を選んで板書し「この子は作曲家か音楽家になるかもしれない」と言ってくれたという。
小室さんは「その先生は一日限りで僕の名前を知らない。僕も先生とひと言も話していないが、認められた。譜面だけでコミュニケーションできる。音楽ってすごいなと思った」と振り返った。続けて「それだけがきっかけではないが、背中を押されたことは間違いない」と話した。
締めくくりは小室さんのピアノ伴奏で、全校生徒が校歌斉唱。小室さんが「四中卒を誇りに思っている。今、四中生であることに誇りを持ち頑張って」と呼びかけると、生徒らは大きな拍手と歓声で応えた。
3年の女子生徒(14)は「小室さんがOBであることはみんな知っている。『譜面でコミュニケーションできる』という小室さんの話が素晴らしかった。貴重な経験をした」と話していた。