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2024-10-26 HaiPress
東京都豊島区のNPO法人「TENOHASI(てのはし)」が食品配布会の利用者約250人に実施したアンケートで、回答者の3分の1が、昨年5月の新型コロナウイルス感染症5類移行後に配布を受け始めていたことが分かった。利用者が急増したコロナ禍が落ち着いても、生活に苦しむ人が後を絶たない実態が浮かんだ。(中村真暁)
配布会は月2回、豊島区の東池袋中央公園で実施。1回当たりの平均利用者は、コロナ禍前の2019年度の166人から、22年度には512人へ増加。5類移行後も傾向は変わらず、24年度も9月末までで549人が訪れている。
調査は3月下旬の配布会に並んだ518人が対象で、245人が回答した。
食品配布会で弁当やパンが入った袋を受け取る利用者(中村真暁撮影)
配布会に来始めた時期はコロナ禍前が76人(34%)、コロナ禍の最中が72人(33%)、5類移行後が73人(33%)と均等だった。年齢も答えた人のうち20代の6人全員が「5類後」で、コロナ禍を経て利用者の年代が広がった可能性がある。
回答者のうち路上生活者は14%で、さいたま市大宮区や東京都江戸川区、葛飾区など広範囲から集まっていた。生活保護の利用者は48%を占めた。
アンケートに答える男性=3月、東京都豊島区で(中村真暁撮影)
清野賢司代表はコロナ禍後も利用者が増えていることに「コロナ禍前から潜在的にいた困窮者が、報道や人づてで配布会を知りやってくるのだろう」と説明。「家はあっても、困窮している人が多い。生活保護を利用しなくなっても保護基準以下で生活している人も多く、社会的な課題だ」と指摘する。
27日投開票の衆院選では、暮らしの安定に向け、自民党が「物価高の影響を特に受ける低所得世帯を下支えする給付金による支援」、立憲民主党が「最低賃金を1500円以上とし、適切な価格転嫁などにより賃金の底上げを実現」などの公約を掲げている。
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生活困窮者の現状を知ってほしい—。「TENOHASI」による食品配布会には、物価高や不安定な労働環境に苦しむ多くの人が訪れる。衆院選に熱が帯びる今月中旬も、会場となった東池袋中央公園には572人が列を作り、利用者からは政治に対する切実な声が聞こえた。
「生活保護費は上がらないのに、物価は上がっている。以前は2キロで700円台だったコメが、今は1200円ほど。ばかばかしくて買う気もしない。こうした所で、生活費を浮かせるしかないんです」
食品配布会で弁当やパンが入った袋を受け取る利用者=12日、東京都豊島区で(中村真暁撮影)
台東区の簡易宿泊所で1人暮らしの男性(61)は、ため息をついた。ネットカフェに寝泊まりしながら警備員として働いてきたが、昨年冬に突然、頸椎(けいつい)のヘルニアを発症した。痛みとしびれがひどくて働けず、生活保護を申請した。
今月から就職活動を始めたが、生活保護では基本的に1万5000円以上の就労収入があると、支給の一部が差し引かれる。「すぐにも働き、給与をためて引っ越しなどに充てたい。自立できなくて悔しい」。保護費は毎月、5000円も残らない。「政治家にはそうした現状をもっと、知ってもらいたい」
同じく列に並んでいた男性(59)は、16歳で都内の自宅を出て以来、ネットカフェや寮付きの仕事を転々としてきた。建築業や製造業の日払いで1万2000円ほどを稼いでは、2日間をしのいでいる。住まいがないため自炊できず、食事は安いパンをかじる。「賃金は上がっても、物価が上がっているから」
衆院選で政治とカネの問題が大きな争点となる中、注ぐ視線は厳しい。「政治家の議論より、卵の値段に興味がある。今日食えるかどうかに、必死だから」。そう投げやりに話しつつ、「一人ではなく、皆の生活が潤ってほしいね」とつぶやいた。(中村真暁)
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